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【修理屋のひとりごと】’物’は最後の最後まで使いたい。

「2019年」と書くことにだんだん慣れてきました。
みなさまどんなお正月を過ごされたのでしょうか。

今日はちょっとひとりごとです。

「物はたいせつに、最後まで使おうよ」という話。 スマートクールで何百台のiPhoneを見ていて思ったことがあります。

真珠まりこさんの絵本で「もったいないばあさん」というのがあります。食べ物をのこしたら、もったいなーい、水のだしっぱない、もったいなーい、小さくなったえんぴつ、もったいなーい、と言って、みみっちいぞと言いたくなるくらいもったいないを連発するおばあさんの話。豊かで困ることの少ない暮らしをしている私たちだからこそ、みみっちい、という言葉が出てくるのだと思いますが、もったいないという、物を最後まで使い切る心ってとても大事だと思うのですよ。

わたしたちが取り扱うスマホ、iPhoneの買い替えサイクル、みなさんご存知のとおり2年とか、現在は4年まであるようですね。アップルケアも2年です。キャリアの戦略は、2年間通信料をはらってくれれば、高額なスマホの24回分割払いを無金利で提供しますよ。完済したら新機種に更新できるのは1ヶ月以内、それ過ぎたら違約金発生しますよ。という飴と鞭を振りかざしあたかも2年間で更新しないといけないように顧客を誘導しています。さらに日本人の新しもの好き&ちょっと見栄っ張り、長いものには巻かれとこう、な気持ちがさらにこの呪縛を強めているような気がします。アップルさんの宣伝の仕方も見事ですけどね。

でも、これ本当に2年でいいんでしょうか?2年でダメになるなんて誰が決めたんでしょうか。確かに2年使うと飽きはくるような気がしますが、これを一般化しているのはほかでもないアップルさんや3大キャリアの戦略以外なにものでもなくて、ではユーザーのあなたはどうなんですか?という問いかけも、答えもどこにもありません。だって、テレビは2年で買い替えないでしょう?いまやスマホより安いのに。

わたしは修理屋をしています。もともと物は大切に使うほうですから、修理をするのはとても大好きです。かれこれ数百台のiPhoneを触ってきましたが、わたしはお客さんに声を大にして言いたいのです。

「もっと大切にしたら、もっと長く使えるよ」

みなさんね、扱いが雑なんです。
自分の身の回りの大部分を解決してくれる大事な道具なのに、なんでちょっと奮発した指輪より扱いが雑なんでしょうか。金属のボディにガラスの画面を貼っただけのデバイスです。工業製品でもアウトドア用品でもありません。一番みぢかにあるものほど大切にできなくなるというのが、人間の性なのでしょうか。

どうしてバキバキに割れたまま使い続けて、なかにびっしりホコリがつまっているのか? どうして一か月の間に何回も画面を割ってしまうのか? どうして落とすリスクがあるのに頑丈なケースに入れようとしないのか?

半年にいちどはアップルから新製品の発表があって、みんなイイネイイネと言いながら旧機種を放っておいて新しいものに乗り換えます。2年おきに。まだまだ全然使えるのに。電池かえたらいいじゃないですか。画面にフィルムやコーティングを施して、手からすべるならリングつけて、丈夫なケースに入れて、動かなくなるその瞬間まで使ったらいいじゃないですか。

なんで貴金属や高級カバンやらクルマには愛着があって、iPhoneにはないのか。同じ十万円近くの品でも、通信料をいれればiPhoneのほうが高級です。身銭を切って人生の何パーセントかを一緒に過ごすガジェットですから。その存在をきちんと認めてあげてほしいと思います。

つい昨年末、そこそこお年を召していると思われる女性の方が、古びた黄色のiPhone5cを持ってこられて、画面が見づらくなったのと電池の交換をお願いしたいとおっしゃって来店されました。手帳型のケースに入っていた5cは本当に傷もなく綺麗で、画面にちょっとだけすれがみられる程度。

「綺麗につかっていらっしゃいますね」

とわたしが言ったら、

「孫とおそろいで買ったので、大事にしているんです」

事前の動作チェックで写真のデータや壁紙が見えてしまうのですが、なるほどと思いました。思い出がたくさんつまったiPhone。しかもバックアップもちゃんととっているらしく。
なんだかウルウルしてしまいました。

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もはや動作ももっさりしていて、使い辛いかもしれないのに。どれだけ合理的で便利な世の中になっても、こうして一つ一つを大事にできるようになりたいと、わたしは思いましたよ。

 

電気製品でも、スマホでも、お皿でも、きちんとモノと向き合うと付き合い方が格段に変わります。消費消費の世の中だからこそ、モノのに自分の気持ちを託しておくと、何が一番必要で、必要でないか、見極められると思うのです。そして、大げさかもしれませんが人生に迷うことも少なくなるのではないでしょうか。


 
長くなりました。
別に全ての人がそんなふうに、悪い言い方すればケチの類になればいいということではなくて、ちゃんと心を注げるように生きていければいいなということです。物を大切に使い切るというのは、そういう心意気の第一歩なのではないかと考えています。

みなさまはどう思われるでしょうか。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

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